建築年月日2013年9月
家族構成夫婦 子ども2人
延床面積122㎡
「コンパクトだけれど、家族がのびのびと過ごせるマイホームができました」。そう笑顔で話すYさんの新居は、随所にこだわりが見られる。自分のイメージを図面に描いては、何度も設計士に相談し、納得のいく家づくりをしてきた。
Y邸に入って真っ先に目につくのが、開放感のあるリビングダイニングキッチン。子どもの遊び場(本来は収納スペース)が隣につながり、その上にはシースルーの書斎もつくられている。
「妻はキッチンにいながら、子どもたちが遊んだり、カウンターで宿題をしている姿を見守ることができます。私も、書斎で持ち帰った仕事をよくするのですが、ふと家族の姿が目に入ると、ホッとするんですよね。家族それぞれが程よい距離感を保ち、でも一体感がある。そんな空間ができたと思います」
収納=遊びスペースは、リビングよりも床が20㎝低く、その分、書斎の位置も下げることができた。「より視線がつながりやすくなりましたね」とYさん。また、収納の天井高は1.4mにしたので、この部分は延床面積には入らないという。「タテの空間をうまく使うことで、面積以上に開放感が味わえ、生活空間も広げることができました」。
1階のLDKをできるだけ広く取るために、浴室や洗濯スペースは2階に移した。洗濯物をすぐにバルコニーに干せるので、奥さんからも好評だとか。
2階のこだわりは、まだある。「吹抜けのところに、開閉のできない大きな窓を付けたので、明るさは問題ないですね。また、子ども部屋は、真ん中にクローゼットを設け、2つに分割。といっても、完全に区切られてはいないので、行き来もしやすく、毎日、2人一緒に遊んでいますよ。ただ、それぞれの部屋はどうしても狭くなるので、圧迫感が出てくる。少しでも軽減できるよう、1室ずつ吹抜けをつくりました」。
実は、Yさんが家を建てるのは、今回で2度目。以前、関西で仕事をしていた時、京都にマイホームを構えていたことがあった。その後、転職をして東京で勤務することに。はじめは賃貸マンションに住んでいたが、「やはり持ち家の良さが忘れられない」と、京都の家が売れたのを機に、もう一度、家を建てようと決意した。最初の家は、他社メーカーで建てたそうだが、今回はあえてユニバーサルホームを選んだYさん。それには、こんな理由が……。
「京都の家は、今よりも20㎡以上広く、間取りも自分好みで、とても気に入っていました。でも、冬がとにかく寒かった。子どもが生まれたばかりだったので、暖房は体にやさしいものを!と、オイルヒーター、エアコン、加湿器を同時に使用。光熱費が1か月で6万円もかかりましたよ。それなのに、一歩廊下に出ると寒いんです。しばらくして、私の親が近所に、ユニバーサルホームで家を建てました。遊びに行ったら、わが家と比べものにならないくらい暖かい。それをまた両親が自慢するので、悔しかったですね(笑)」。この体験から夫婦ともども、「次は小さくてもいいから、暖かい家に住もう」という考えに落ち着いたそうだ。
地熱床システムを備えたYさんの家は、1階の暖かい空気が2階にも上がるよう、空気抜けもつくり、家全体が暖かい構造になっている。冬でも、リビングのエアコンは早朝の30分ぐらいしか使用せず、あとは床暖房で十分快適な温度になる。1階の和室のエアコンは、まったく使わない状態だ。「まだ子どもが小さいので、夜は家族4人で和室に寝ているのですが、毛布もいりませんね。寝相の悪い子どもが布団をはいでも大丈夫。そういえば、この家に引っ越してから、子どもが風邪をひかなくなりました」。
また、「夏も涼しくて快適ですよ」とYさん。1階のキッチンや収納(遊び)スペースには、熱伝導のよいタイルを張り、冬は温かく、夏はヒンヤリしている。「子どもたちは床が気持ちいいのか、よく寝転がって遊んでいますよ」。さらに、外壁は泡を吹き付けるタイプの断熱材を使い、2階でも涼しさをキープ。8月、小屋裏をつくっていた大工さんも、「上階はもっと暑いはずなのに、この家は涼しいね」と感心していたそうだ。
冷暖房の効率がよくなると、必然的に光熱費も下がる。加えてYさんの家では、太陽光発電を利用しているので、発電量の多い夏の時期は、余った電力を売っているという。「10年間の分割払いで太陽光パネルを設置しました。売電の収入を支払いに回せるのも助かりますね」。
「家というのは、春と秋だけ快適でも仕方がありません。夏や冬に、いかに体に負担をかけずに過ごせるかが、とても重要。そんな当たり前のことを、2度、家を建てて気づきました。また最新のモデルであれば、どんな家でも断熱などの機能性が良いと、思い込むのも間違いです。間取りは、案外二の次かも……。建物が小さくても、工夫次第で、広々とした空間を作り出すことができますから。ホント、今の家には満足しています」。