注文住宅の魅力は自分の思い描いた理想の家を手に入れられる点にあります。もちろん、内装も自由に設計することができます。しかし、そこで基本的なポイントを外してしまうと、住みにくい家になりかねません。そこで、快適に過ごせる注文住宅にするにはどのような点に気をつければよいのか、そのポイントについて解説をしていきます。
トピックス一覧
コンセントの数と位置はとても大切
注文住宅の内装を作る際に失敗しがちなのがコンセントの数や位置です。深く考えずに適当に設置したために、コンセントの数が足りない、もしくは家具の後ろになってしまって使えないといったトラブルがよくあります。プロの設計士が作成した電気配線図もありますが、それに描かれたコンセント配置を鵜呑みにするのもよくありません。設計士が描いた配線図はあくまでもスタンダードなパターン配置に過ぎず、実際にその家でどのように使用するのかを踏まえて作成しているわけではないからです。
コンセントの位置を決めるにはまず家の間取り図に家具の位置を書き込んでみる必要があります。その上で家具が邪魔になる位置を避けつつ、利便性の高い場所にコンセントの位置を設定していくのです。たとえば、子どもの部屋に学習机を置くのであれば、スタンドの明りをつけるためにもその横にコンセントがあった方が便利だということになります。ベッドを置くのであればコンセントがその裏側に隠れてしまうのは避けたいものです。また、キッチンでは使用する家電が多いので、最大でどれだけの数を使うのかを把握した上でどこにコンセントを設置すればよいかのシミュレーションをしていきましょう。さらに、忘れてはならないのが季節家電です。特定の季節のみ使用する家電を想定していないと、いざという時に置きたい場所にコンセントがないといったことになってしまいます。
それらのポイントを押さえた上で、家中に満遍なくコンセントが配置されるようにしていくことが大切です。コンセントの配置場所に偏りがあると使い勝手の悪い家になってしまいます。少なくとも、掃除機で家中を掃除する際に、コンセントを挿す場所に困らないような配置を考えていきましょう。
内装では色選びにも注意しよう
部屋のイメージを大きく左右する要因の一つに色の選択があります。たとえば、天井を濃い色にしてしまうと、天井が低く感じられ圧迫感が生じてしまいます。また、壁の四方を濃い色で固めてしまった場合も同様です。部屋を広く見せようとするならば逆に、床の色を濃くして天井と壁の色を薄めにするのが基本です。そうすると、床の重量感が増し、コントラストの効果によって実際より部屋が広く、天井が高く感じるようになります。ただ、寝室などはあまり広々としていると落ち着かないといったケースもあるかもしれません。その場合は壁を薄い色にしつつ、天井と床の両方を濃くしてこぢんまりとした中にも落ち着いた雰囲気を演出してみるのも一つの手です。
さらに、四方の壁のうち、1面だけ寒色系の濃い色にすると部屋に奥行きを持たせる効果が期待できます。ちなみに、天井の色を濃くした上で壁の一面を濃くすると部屋が平らで細長いように感じられます。それぞれ用途に応じて使い分ければよいでしょう。ただ、壁の一面が濃いパターンの配色にはインテリアや照明とのバランスが難しいという難点があります。したがって、これらの配色を希望する場合は業者と相談しながら慎重に検討することをおすすめします。
部屋数は少ないほうがメリットが大きい
部屋数に関しては子どもが大きくなった時のことを考えて、多めにしておいた方がよいのではないかと思うかもしれません。しかし、快適さを重視するのなら、部屋数は少なめにしておくことをおすすめします。その方が日当たりや風通しがよくなるからです。風通しが悪いと、湿気がこもってカビが発生しやすくなってしまいます。それに、部屋を増やすと仕切りの壁が増える上に、照明や建具も部屋の数だけ用意する必要があるため、コストの上昇を招いてしまいます。
しかも、それらの部屋をずっと使い続けるのならよいのですが、子どもが巣立って夫婦2人だけになった場合は使わない部屋がいくつもできてしまったなどということになりかねません。したがって、部屋数は最小限にとどめておき、必要があれば家具の配置やパーテンションなどで区切って部屋数を増やせるようにしておくのがベストです。本当に必要な部屋は何かをよく考え、使わない部屋を作らないようにしましょう。
部屋の広さはどう考える?面積で注意したいこと
単純な部屋数だけでなく、各部屋の広さのバランスをどうするかといった問題も注文住宅においては重要なポイントです。たとえば、トイレや洗面所をゆったりとした広さにしようと考えた結果、リビングが狭くなってしまったという場合があります。また、子ども部屋を広くしたのに子どもがその部屋を全く使わないなどといったケースも考えられます。このように安易に広いスペースを設けると、無駄が生まれる一方で必要な部屋のスペースが確保できないということにもなりかねません。そのため、就寝以外で使用しない寝室はベッドが置けるだけのスペースにとどめ、みんなが集まるリビングは広めに取るといった具合に用途に合わせて間取りを考えていくことが大切です。
また、たとえスペースに余裕がある場合でも部屋の間取りを過剰に広くするのは考えものです。広過ぎたせいでエアコンの効きが悪い、見た目が殺風景といった思わぬ弊害が生まれる場合があります。大は小を兼ねると言いますが、住宅の場合は必ずしもそれが当てはまるとは限らないのです。慎重に検討を重ね、適切な広さを割り出していきましょう。
デザインはシンプルなほうが飽きがこない
注文住宅を建てるとなるとついつい個性をだしたくなり、内装も奇抜なものにしようと考えてしまいがちです。しかし、家というものは一度完成すれば、数十年単位で暮らすのが普通です。最初はインパクトがあると思っていても奇抜なだけのデザインはすぐに飽きてしまいます。それに、独創性に走りすぎたデザインは周囲との調和を乱してしまうものです。そうなると、暮らしていてもなんだか落ち着かなくなってしまいます。しかも、内装をあまり凝ったデザインにすると配置可能なインテリアが限定されてしまうというデメリットが生じてきます。
その点、内装をシンプルにすると飽きの来にくい安らぎの空間を演出することが可能です。そして、シンプルだからこそ、そこにさまざまなインテリアを配置する楽しみも生まれてきます。さらに言うならば、シンプルな空間には高級感が宿りやすいという点も大きなメリットです。もし派手で奇抜な内装にしたいと思った時には10年後も20年後もそのデザインで満足できるのかをよく考えてみましょう。長い年月の間、愛着を抱き続けられる家にするには無駄を省いたシンプルなデザインをおすすめします。
注文住宅では快適に過ごせる内装を重視しよう
初めて注文住宅を建てる時にはあれもこれもとアイディアを詰め込もうとしてしまいがちです。しかし、あまり凝り過ぎると余計な費用がかかってしまいます。特に、部屋の数をただ増やすのはおすすめできません。それだけ壁や建具を多く作らなくてはならず、コストが膨れ上がってしまうからです。また、日当たりや風通しが悪い部屋ができてしまい、快適さを犠牲にしてしまうことにもなります。内装のデザインについてもあまり奇抜なものにしてしまうと、逆に飽きるのが早くなってしまうものです。さらに、家に対する理想の思いが強すぎてもコンセントの位置や数といった基本的なポイントを見落とすことにもつながってきます。まずは、原点に立ち返り、快適に暮らすにはどうすればよいかという観点から家の内装についてよく考えるようにしていきましょう。