家を建てるうえで欠かせないもののひとつに、トイレがあります。誰もが日常的に利用する場所であり、馴染みの空間でもあります。暮らしに溶け込んでいるトイレですが、いざ注文住宅を建てるとなると、どこに設置すればいいのか、案外悩むものです。ここでは注文住宅を建てるうえで、どこに設置するのがベストか、また何基あればいいのかなど、トイレの基本について紹介します。
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使いやすいトイレは設置場所が大事
使いやすいトイレを実現するためには、場所選びが大切です。特に配慮したいのは、トイレ利用時の音になります。トイレをしている音を聞かれたくないと思うのは当然のことです。家族同士であればまだしも、訪問客の場合はなおさらそう感じるのではないでしょうか。訪問客も家族も気軽に使えるトイレにするためにも、音が響きにくい場所、死角になる場所を選ぶようにしましょう。寝室の近くや寝室の真上に設置すると、夜中にトイレを使う音が気になってしまいます。リビングから見える位置や玄関脇も避けましょう。リビングにいてもトイレの音が聞こえたり、出てくるところが見えてしまうようなトイレは、使いにくく感じるはずです。玄関脇にある場合、玄関で来客対応をしていると使いにくいという欠点があります。
他にもトイレを設置してはいけない場所があります。それは、キッチン脇です。トイレや浴室に行くのにキッチンを通る形にしてしまうと、キッチン周辺で渋滞が生じやすくなってしまいます。特に朝の忙しい時間帯になると、思うように家事も通勤、通学の準備も捗らず、ストレスの元となるでしょう。トイレを設置するベストな場所としては、廊下の突き当たりや脱衣所の脇が挙げられます。こうした場所は音や視線対策がしやすいだけではありません。トイレにすることでデッドスペースを活用できたり、水回りの設備をまとめることで費用を安く抑えたり、点検をしやすくしたりする効果が期待できます。
渋滞回避!トイレは何基がベスト?
朝の通勤、通学の時間になると、トイレは混雑しがちです。家族の数が多くなるに従って、トイレの数も増やしたいものです。例えば4人家族で2階建ての家に住む場合、各階に1基ずつ備え付けるのがベストでしょう。スペースの問題で玄関脇にトイレを設置せざるを得ない場合でも、2階にもトイレがあれば問題なく利用できます。
3階建ての場合にトイレをいくつ設置するかは難しい問題です。理想は各階に1基ずつですが、その分費用もかさみます。もちろんスペースの問題もあります。3階建ての住宅を建てる場合、1階は駐車場と1~2部屋、2階にリビングがあり、3階にもう2部屋といった形が多いでしょう。3階建てにする必要性が高い都市部の場合、隣家との間隔も狭く、1階は暗くなりがちです。そのため、主な居住空間は2階と3階になるのが一般的です。
だからといって、トイレを2階と3階にしかつけないのは早計です。1階にトイレがあると外出から戻ってきてすぐに使いたいときや、出かける直前になってトイレに行きたくなったときにわざわざ2階まで上がる必要がありません。浴室が1階にある場合には、水回りをまとめられるというメリットもあります。建物の構造上1階が一番広くなりますから、場所を確保しやすい点も見逃せません。3階建ての場合、各階1基ずつという理想を踏まえたうえで、費用や空間と相談することになるでしょう。
タンク付き・タンクレスの特徴
トイレにはタンク付きのもの、タンクレスのものの2種類が出回っています。それぞれにメリットとデメリットがあるので、違いをよく理解して自分の家に合うものを選ぶようにしましょう。まずは、タンク付きのトイレです。トイレと聞いた場合、こちらを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。タンクレスに比べると値段が安く、溜めた水を使って流すため、水圧を気にする必要がありません。一方でタンクの分だけ奥行きがあるため、タンクレスに比べるとスペースが必要になります。
タンクレスの特徴は、そのスマートさにあります。タンクがないため狭いトイレにも設置可能です。見た目もシンプルで、トイレの室内全体をすっきりと見せてくれます。全体として、トイレ空間を広々として清潔感のあるものに見せてくれるでしょう。また、水道直結なので連続して水を流せることもメリットのひとつです。デメリットとしては、手洗いを別に設置する必要があること、水圧が足りないと水の流れが悪くなったり、詰まったりしてしまうことが挙げられます。また、電気を使って水を流す仕組みのため、停電時には利用できません。
トイレの広さはどれくらい必要?
快適なトイレ空間を作るためには、トイレの広さにもこだわりたいものです。一般的なトイレの広さは0.5〜1畳ほどといわれています。0.5畳の場合、トイレ内には便器を置くだけになりますが、0.75畳ほどあれば便器の横に小さなカウンターを設置できます。ただし、トイレは広ければそれだけ快適というわけではありません。0.5畳でも問題なく使用することができますし、座ったままドアノブに届くというメリットもあります。
老後のことを考えて、車椅子でも入れるトイレにしたいと考える場合には、通常のトイレの2倍以上にあたる2畳分の広さが必要になります。車椅子を使わない人にとって、これは広すぎて落ち着かないと感じるかもしれません。万が一の備えをしておきたいと考えるのであれば、リフォームで対応できるようにしておくとよいでしょう。トイレの横に収納スペースを隣接させておくことで、大きな手間をかけずに必要に応じてトイレを拡張させることができます。
最低限必要なトイレ内の設備とは?どんな設備があると便利?
トイレ内に最低限必要な設備は、便器とトイレットペーパーホルダーになります。この2つがなければトイレとしての機能を果たすことができません。トイレと洗面所の位置が離れるようであれば、トイレ内に小さな洗面台を設置するとよいでしょう。特にタンクレストイレを設置する場合、手を洗う場所が離れていると不便を感じることになります。トイレ空間を広く活用できるタンクレスの利点を活かして、トイレ内に手洗いを設置することも検討しましょう。
トイレ掃除の用具も、できればトイレ内に置きたいものになります。トイレの空間をやや広くとれば、トイレ掃除用具を収納するカウンターを設置することが可能です。使用して汚れたトイレをその場ですぐきれいにしたいと考える人にとっては、十分な広さと掃除用具を収納するスペースは必須といえるかもしれません。
家庭で異なるベストなトイレ!
注文住宅でトイレを設置する際には、自分たちの家族構成を第一に考えましょう。夫婦2人で暮らす家にトイレが3基はいくらなんでも多すぎるでしょう。反対に、4人家族以上で暮らす家にトイレが1基ではストレスのもととなってしまいます。家族が増えるにつれ、音や視線への配慮がより重要になってきます。トイレの広さや種類は人それぞれの好みの部分が大きく、一概にこれがいいと決めることはできません。タンク付きとタンクレスではそれぞれのよさがあります。自分たちの好みや予算に合うものを選ぶようにしましょう。広さについても同様です。トイレを広くとるということは、その分他の空間を削ることを意味します。トイレにそれだけの空間を割く必要があるのか、今一度家族で話し合ってみることが大切です。
トイレを設置するうえで気をつけたい点や、避けたい点はたくさんあります。一方で、これが正解と答えをひとつ導き出すことは困難です。家庭によってどのようなトイレがよいかはまちまちです。間取りや完成予想図を見ながら、自分たちの家庭に合ったトイレを探してみましょう。