注文住宅を購入するなら建材にもこだわりたいものです。子どもが幼いころから住み、親の終の棲家にまでする可能性を考えると、建材は快適な機能をできるだけ持つものが理想的です。外壁の建材として使われることが多いALCは軽くて使用しやすいばかりでなく、住環境を居心地良くするさまざまな機能を持ち合わせています。ALCにはデメリットもありますが、注意点を押さえればトラブルの発生を最小限にすることが可能です。ALCの機能とメリット・デメリット、外壁の建材として使用する際のポイントなどを解説します。
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高性能外壁材ALCとは?ALCの優れた特徴
ALCとは、「autoclaved lightweight aerated concrete」を略した言葉で、高温高圧処理をされた軽量で通気性のあるコンクリートという意味になります。その言葉通り、内部に気泡をたくさん含み、そのために軽くて断熱性の高さなどの特徴を持つ機能的なコンクリートとなっているのです。ALCを作るときには、コンクリートの材料であるセメントや生石灰などに発泡剤となるアルミニウムを混ぜて高温と高圧をかけます。それによって水素ガスの気泡と、トバモライト結晶(ケイ酸カルシウム水和物)という変化しにくい物質ができあがり、固まって軽量で頑丈なコンクリートになるのです。トバモライト結晶は、自然界では火山の地下で数万年の時間を掛けて生成される物質で、非常に安定した性質を持っています。ALCはそれを人工的に短時間で作ります。その変化しにくい頑丈な結晶と、その中に含有された豊富な空気が、軽い上に断熱や防音、調湿といったさまざまな特徴を生み出すのです。
ヨーロッパ発祥!高性能外壁材ALCの歴史とは?
ALCはスウェーデンで生まれ、ドイツやオランダなどのヨーロッパや旧ソ連で発展しながら日本に導入されました。開発されたのは1920年代で、日本で生産されるようになったのは1960年代です。北ヨーロッパなどは寒冷な地域なので、冬が長く雪も降り、建築にかけられる時期の短さやコンクリートの外での管理が難しいという問題を抱えていました。ALCは製造方法の関係で工場で作られ、ブロックやパネルの形で出荷されます。管理が簡単で軽くて断熱性などに優れた建材は扱いやすく寒冷地向きのため、広く使われるようになり発展していったのです。ヨーロッパでは伝統的な建築方法は石造りなので、ALCもブロック状のものがメインです。しかし、日本ではパネル状の製品が一般的になっています。また、ALCパネルの内部に鉄筋の補強材を入れることで強度を増しています。ALCは工場で作られるので品質管理が容易です。そのため、日本工業規格(JIS)の規格があり、JIS規格で保証されている安心できる建材でもあるのです。
ALCが外壁に多用されるのは丈夫で軽いから!
ALCを作っているトバモライト結晶は無機質なので、火事で燃えて有害ガスを出すようなこともなく、耐火性に優れた素材です。そして、結晶に包み込まれた豊富な空気は熱を伝えにくいため、寒い時期には室内を保温し、暑い時期にはクーラーの冷気を逃がしにくくするという断熱効果を発揮します。また、空気の泡を含んで固まったコンクリートは、表面に無数の穴が開いた多孔質という状態になっています。そこで、穴に音を吸収する防音効果が生まれ、さらに孔内に室内の余分な湿気を吸い取り、乾燥していれば吐き出す調湿効果も持ちます。空気の分だけ重量が減った軽量コンクリートは非常に軽く、水につけると浮かぶほどです。そのため、地震の際にかかる力がやわらげられ、倒壊に強いというメリットも持ち合わせます。地震の揺さぶる力は、建材が重いほど強くなって、住宅を破壊しやすくなります。つまり、軽い建材のALCは、地震のときに住宅に与えるダメージを下げるのです。このような特徴は、住宅を支える外壁にふさわしいために、ALCは外壁の建材として日本はもちろん、世界中で多用されるようになっています。
把握しておくことが大切!ALCのデメリット
ALCのメリットの理由の多くは、水素ガスの気泡によってコンクリートに開けられた無数の穴によります。この多孔質という性質は、室内では調湿や防音効果というメリットを発揮しますが、必要な仕上げやケアをせずに外に置いてしまうとデメリットを生みます。その特徴から、穴の中に水分がしみ込みやすく、防水性に劣るのです。そのままにしておけば、水を吸った外壁から水漏れを起こす原因になります。また、コンクリート内部の水は鉄筋を腐食させるので、外壁の強度そのものに問題が発生します。寒冷地ではしみ込んだ水が凍り、それによって劣化が進みやすくなるのです。ALCは出荷時に防水加工が施されたものもありますが、施工のときに仕上げ剤などで処理する場合も少なくありません。ですから、雨の量が多かったり寒さが厳しかったりする地域では、特に仕上げ剤などに気を配って防水性の高いものを選択する必要があるのです。
ALCを長持ちさせるためのポイントとは?
ALCのデメリットははっきりしているため、適した仕上げ剤がメーカーで開発されています。防水性に優れていて、ALCへの負担を抑えるものです。そして、マイホームも年数がたつとメンテナンスをしなければならないように、仕上げ剤も時間経過で劣化して性能が落ちていきます。ALCを長持ちさせたいなら、定期的に仕上げ剤の塗り替えを行ったほうが良いのです。また、水は隙間にしみ込みやすいものです。ALCはパネル状なので、継ぎ目の隙間を埋めるためにシーリングが行われます。隙間部分をしっかりガードするにはシーリング材にも注目し、ALC用の防水性の高いものを使用しましょう。こちらも、ある程度の時間が経過したら塗り替えることで防水機能を維持できます。メンテナンスが必要な時期は、住んでいる地域の環境などで変わります。あらかじめ住宅会社に問い合わせて、おおよその目安を知っておくと良いでしょう。
外壁にALCを使うなら実績のある住宅会社に頼みたい
ALCという建材について、すべての住宅会社がくわしいわけではありません。ですから、ALCをあまり扱ったことがない住宅会社に任せると、トラブルが起きる可能性があります。ALCの特徴を把握し、それに適した工程や施工方法、仕上げやシーリングを行わなければ、せっかくのメリットを生かせないかもしれないのです。ALCの仕上げは、ただ塗料を塗れば良いというものではなく、下地処理を行わなければなりません。また、防水のためにすべての面に塗ってしまえば、せっかくの調湿効果などが損なわれてしまいます。また、モルタルや石張りなどの重量が表面に掛かる方法は、多孔質であるALCには適さないため、それ以外のやり方で仕上げます。不適切な方法を避けて不具合を起こさせないようにするのは、ALC外壁のマイホームを万全に長く使う大事な基本事項です。そのためには、ALCをきちんと理解している住宅会社に依頼することが大切になってきます。ユニバーサルホームは、ALCについての知識が豊富です。HPでは、ALCに関する機能やデータをさまざまな角度から説明しています。それを見て、ALCがどのような建材なのか、より深く知ってみてから検討を始めるのも良いかもしれません。