土地を購入する際、不動産取引のプロでもない限りその価格が妥当かどうかを簡単に判断することはできません。そのため購入の窓口となる不動産会社からの説明を頼りに判断する人も多いでしょう。ただ不動産会社からの説明を受ける前に自分自身である程度の相場観を養っておけば、より客観的な判断と有利な交渉が可能になります。そこで土地の価格相場の意味について説明し、相場を知る方法について紹介します。
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土地の相場を知っておくメリットとは
土地を実際に購入する前に価格の相場を知っておくことにはさまざまなメリットがあります。
まず土地購入の候補となるエリアの価格相場を知ることで、予算内で希望する広さや条件の土地を購入することができるのかどうかがわかります。相場から大幅に外れた価格の土地は特別な事情がない限り存在しません。そのため予算に合ったエリアで探さなければ購入できる土地に出会うことはできないのです。土地の価格相場を知れば、他のエリアで探すべきか、地域の相場に合わせて予算の見直しをするべきかを検討することができます。また購入したい土地を見つけた場合にも、その価格が適正なものなのかを相場と比較して判断することができます。土地を売り出す際には不動産会社が価格査定を行うのが通常ですが、実際の売り出し価格は査定価格とは別のものです。売り出し価格は売主の事情に合わせて自由に決められます。場合によっては、あわよくばという気持ちでかなり高い価格をつけていることもあるのです。相場と比較しながら説得力のある値下げの交渉を行うことができれば、法外な高値で土地をつかまされるということが防げます。
ひとつの土地には4つの価値がある
土地の価格相場を調べる上で知っておきたい言葉に「一物四価」というものがあります。1つの土地には異なる4つの価格があるという意味です。その「四価」について説明します。
実勢価格
まず「実勢価格」と呼ばれる価格があります。土地が実際に売買される際の取引価格のことです。時価という言葉とほぼ同じ意味です。実勢価格は実際の取引実績によって決まります。その土地の近隣の取引事例の積み重ねが実勢価格をつくっていくのです。これを一番良く知っているのはその地域で土地取引を繰り返している不動産業者でしょう。また不動産業者であれば「レインズ」と呼ばれる業者だけが使うことのできるシステムを通じ、全国の取引実績を調べることもできるため実勢価格を把握しています。
もっとも不動産業者も近隣の取引事例が少ない場合には、取引実績だけで価格の相場を把握できるわけではありません。そんな時に利用されているのが公的価格で、「四価」の残りの3つの価格です。
公示価格
公的価格の1つ目である「公示価格」は、国土交通省が地価公示法に基づいて発表する土地価格です。
毎年1月1日における標準地を選定しその価格を判定して公示しています。地価公示は適正な地価の形成に役立つことを目的としているため、極端な条件の土地が標準地に選ばれることはありません。そのため比較的実勢価格に近いものとみなされています。対象エリアの取引実績が少ない場合や最近の取引が見当たらないようなときには、不動産会社もまず参考にする価格です。
路線価
2つ目の公的価格は「路線価」です。
相続税や贈与税の課税基準として国税庁が発表する土地価格を指します。
毎年1月1日を評価時点とし、道路に面する宅地の1平米あたりの評価額として発表されるものです。路線価においては路面ごとの価格が詳しく発表されており、また土地の利用区分や路面と接している状況などによって価格を補正する方法も詳しく決められています。そのため公示価格だけでは把握しにくい価格把握に利用されるのです。なお路線価は公示価格の8割程度とされています。そのため路線価を0.8で割ると実勢価格に近づくことになります。
固定資産税評価額
3つ目は「固定資産税評価額」です。
これは固定資産税や都市計画税、また不動産取得税や登録免許税などの基準となる価格で、各市町村は3年ごとにこれを決定し固定資産課税台帳に登録しています。この価格は土地売買の際の売主と買主の費用按分や登記費用の計算に使われるものです。
これら4つの価格のうち相場を知る上で重要となるのは実勢価格です。しかし公的価格や路線価も参考にすればより正確に相場を把握することができるのです。
提示されている価格は妥当か否か?土地相場の調べ方
土地購入で気になるのが、提示されている価格が妥当であるか否かです。たとえ同区域の同じぐらいの広さの土地であっても、土地の形や周囲の環境によって価値は変わります。また、時間の経過によってもその価値は変動します。例えば、5年前に1億円で売買された土地が現在8,000万円で売りに出されたとすればどうでしょうか。価格的には2,000万円の値下がりですが、現在の相場がわからない以上は必ずしも安いとは言い切れないのです。相場がわからないときは、まず地価公示価格を調べてみましょう。
さらに、周辺にある類似物件の取引実績を調べることも大切です。例えば過去1年で類似物件の取引が3件あり、それぞれが坪あたり18万円・20万円・22万円で取引されていたとすれば、目当ての土地も坪あたり18万円~22万円の範囲内に収まる可能性が高くなります。このように適正取引価格を検証し、提示価格が妥当であるか否かを判断してみてください。もし妥当でないと思うのであれば、業者に価格の根拠を尋ね、その上で再び検証してみましょう。
ネットで土地の価格情報を調べてみよう!
土地相場を知る方法として手軽なのはインターネットの利用です。
まず実際の売り出し価格の動向を見るなら、不動産物件情報を集めている不動産ポータルサイトを閲覧するのが良いでしょう。ただしこれらに掲載されている価格は売り出し価格に過ぎず、実際の取引価格ではないことには注意が必要です。
次に実際の取引価格の動向を調べる方法としては、国土交通省の「土地総合情報システム」のサイトが便利です。このサイトでは公的価格である公示価格と実際の取引価格の両方を調べることができます。ただし実際の取引価格は不動産業者からの情報提供量があまり豊富とはいえないため、ある程度の目安として割り切って利用することが必要でしょう。
一方公示価格については、標準地ごとの価格判定の根拠を不動産鑑定評価書などで詳細に確認できるようになっており、資料として価値の高いものです。
また路線価は国税庁が公表しています。「財産評価基準書」のサイトでは全国の路線価を示した路線価図を地図から検索していくことができます。
今ではインターネットを利用することで土地の相場観をある程度養うことができるようになっているのです。
土地の相場は適正価格を知る目安と心得る
公示価格や路線価、不動産ポータルサイトの売り出し価格や国土交通省の公表している取引価格を見ていけば、土地の相場はある程度把握することができます。ただし、実際に取引されている価格情報のすべてをインターネットから入手できるわけではありません。より詳細に相場を知りたければ、その地域に精通した不動産会社とコンタクトを取る必要があります。しかしその前にある程度の相場観を養っておけば、不動産会社から得られる情報への理解度が高まることは確実です。
また、それぞれの土地の適正価格は相場のみで判断できるものではありません。土地の形状や周囲の環境等さまざまな要素が土地価格に影響を与えるからです。しかしそのような独自の条件を加えた上での適正価格を知るためには、前提として周囲の土地相場の把握がどうしても必要となります。相場を知ることが適正な価格で土地を購入するための第一歩なのです。
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