住宅の購入は大きな買い物です。それなのに、もしも引き渡しのあとに売主が倒産してしまい、新築の住宅に欠陥が見つかってしまったら保証はどうなるのか…などと考えると、不安で住宅を建てることを躊躇してしまうという人もいるかもしれません。しかし、そのような不安への解決策となってくれる保険があることをご存知でしょうか。今回は、「住宅瑕疵(かし)担保責任保険」についてご紹介します。
いざというときに心強い!欠陥修補を保証してくれる住宅瑕疵担保責任保険
住宅瑕疵担保責任保険とは新築住宅に欠陥があった場合に、その補修にかかる費用などに対して保険金の支払いが行われる保険です。住宅購入者の利益の保護を図るためにつくられた住宅瑕疵担保履行法という法律の基で、住宅を供給した事業者が倒産してしまった場合などでも、住宅購入者は保険金により修理費用の一部を受けることが可能となります。住宅瑕疵担保履行法とは、新築住宅を提供する事業者は欠陥を意味する「瑕疵」に対して引き渡し後10年間の住宅瑕疵担保責任を負うことを義務付けた法律です。新築住宅の売主などの事業者は、この責任を実行するために住宅の供給戸数に応じて法務局の供託所に保証金の供託を行うか、保険契約を締結するかの措置を取らなければいけないと定められています。さらに、住宅瑕疵担保責任の履行のために行っている措置について住宅を購入した人に説明することも義務付けられているのです。
把握しておこう!住宅瑕疵担保責任保険加入の流れとは
住宅瑕疵担保責任保険は、国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人に保険料が支払われることで契約が結ばれます。加入するための手続きは売主などに求められるものですが、住宅購入者も流れを把握しておくと安心です。
具体的な流れとしては、最初に行われるのが現地調査です。現地調査は着工前の準備の時点で行われます。一戸建ての注文住宅などの場合には、その後、利用する保険法人規定の「設計施工基準」に適合した設計が求められます。さらに、請負契約の締結時には建設業法という法律によって保険法人の保険内容に合った瑕疵担保責任を定めた契約も必要とされます。契約後、確認の申請と確認の通知を受けたら、初めてここで保険契約の申込手続きを行いますが、申し込みに必要となる書類は保険法人ごとに書式が異なるので注意が必要です。申し込み後にも手続きがあります。着工時には、設計時と同じように保険法人による「設計施工基準」に合った施行が必要です。保険法人ごとに定められている規定のもとで現場検査も受けます。これらの手続きがすべて終わり、引き渡しが決定すると、保険法人から住宅を提供する事業所に、保険証券や保険約款などが発行されます。引き渡し時には、住宅を購入した人に対しても「保険付保証明書」が渡されます。
どこまで補償を受けられるの?住宅瑕疵担保責任保険の具体的な補償範囲
住宅瑕疵担保履行法のもとで住宅の瑕疵について補償を受けられるその範囲とは、構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分です。構造耐力上主要な部分とは建物自体や積雪の重さ、積載荷重のほか、地震などの振動、風や水などの圧力などから建物を支えるために必要となる家の構造の基本となる部分を指します。たとえば、木造の在来軸組工法の場合であれば、基礎や土台、床版、柱、壁、斜めに組み込む斜材や横に入れる横架材、屋根版、小屋組(こやぐみ)と呼ばれる屋根部分の骨組みといったところが挙げられます。壁式工法の鉄筋コンクリート造の場合であれば、基礎抗や基礎、床版、壁、外壁、屋根版が補償範囲内です。雨水の侵入を防止する部分とは、外壁や窓などの開口部、屋根といった場所が該当します。