新型コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言が発令されて以来、テレワークが多くの企業でも導入され、ニューノーマル(新しい働き方)と住まいの役割が求められるようになりました。日本では浸透していなかったテレワークという働き方が、突然浸透し始めたことで、業務体制の変更や、「そもそも仕事をする場所や環境が整っていない」と戸惑う方も多かったのではないでしょうか。
今回は、ニューノーマル(新しい働き方)となった「テレワーク」に活用できる書斎やワークスペース、そして住まいづくりの考え方についてまとめてみました。
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住まいの役割の変化
テレワークに移行して明確になったことは何でしょうか?
以前は、働き手にとって、“家”は寝ることができればOKという空間であったことも否めません。普段はオフィスに顔を出し、会議やデスクワークを行うため、“家”の中に仕事をする場所は必要がありませんでした。
また、カフェやレストランには、リビングやダイニングというくつろいだり、食事や会話を楽しんだりする居室空間の役割も持たせていたために、“家”は寝るためだけの役割に限定されていたのかもしれません。
今回の場合いざテレワークをしようとすると、ベッドの横に小さなテーブルを置いて・・・、子どもたちが自宅学習を行っている横で・・・、など全く仕事ができる環境がない状況であることが露呈されてきました。もう少し“家”の住環境が豊かだったら・・・と思われた方も少なくなかったのではないでしょうか?
テレワーク時に限らず、趣味や自分だけの空間を作ることで、“家”の中での暮らしをさらに充実させていきしょう。
書斎をもつことのメリット・デメリット
「書斎」と言うと、「厳格なお父さんが読書や仕事をするスペース」といったイメージを持たれがちですが、現在では「書斎は落ち着ける自分だけの空間」というコンセプトのもとに、スペースを確保している方も多いようです。そこでマイホームに書斎を設けることのメリットや理想的な書斎のレイアウトなどについてご紹介します。
「テレワーク時のワークスペースが欲しい」「マイホームを持ったら、自分だけの空間が欲しい」「思い切り趣味が楽しめるスペースを持つことが理想的」という方には、ぜひ「書斎」を持つことをおすすめします。
「書斎」の活用方法としては、さまざまなことが考えられます。まず、パソコンやプリンターなどを置いて、「テレワークのためのスペース」として活用されるケースはとても多いと言えます。
その他には、「趣味のスペース」として活用されています。例えば、ギターやウクレレなどの楽器を演奏したり、手芸などを楽しんだりする趣味がある場合は、書斎を設けるのは特におすすめです。こういった趣味であれば、狭小スペースであっても十分に楽しむことができます。
個室タイプの書斎を設ける
個室タイプの独立した空間であれば、邪魔が入りにくく、自分の時間を楽しむことができる書斎となります。もちろん、テレワークの際は、仕事に集中でき、WEB会議なども子どもが入り込まない、といったメリットもあります。
最近では、DEN(デン)という言葉も広く知られるようになってきました。DEN(デン)とは巣・洞穴を意味する言葉で、これまで納戸扱いだった空間に新たな役割が与えられ、実際にここを書斎として活用している人も多いようです。
個室タイプの書斎は独立性が高く、使う人の使い方や趣味嗜好に染まっていきます。そのため、ひとつの個室を家族全員で共有するといったスタイルにはあまり向いていないようです。
コンパクトスペースでも実現可能!狭小書斎は落ち着く空間
そうは言っても、マイホームを建てるときは予算も土地も限られています。
しかしながら、「書斎なんて贅沢なのではないか」と諦めてしまうのはとてももったいない話です。
「階段下のちょっとした隙間」「廊下の突き当り」「屋根裏」など、共有部分やコンパクトスペースであれば、書斎として活用できる可能性があります。大きな収納を設けることはできないかもしれませんが、コンパクトスペースにカウンター机と椅子を設置すれば、仕事や読書、ちょっとした作業ができるようになります。
また、狭小書斎であっても窓を設けるだけで、空間の雰囲気が大きく変化します。窓があると、外の景色を眺めることができるのはもちろん、天気や四季のうつろいなども感じられるため、空間としての質が一気に高まるといった期待があります。
間取りにはないけど、家具などでちょっとしたワークスペースをつくる
書斎という概念をもたず、リビングや廊下・階段スペースなどを活用してワークスペースを設けるという方法もあります。家族で一台のパソコンを共有しているなら、リビングの一部に造り付けのカウンターテーブルやちょっとした収納スペースをつくり、パソコン用の電源やインターネット環境を整備すれば、立派な書斎となります。移動も少なく、空調や照明も共有でき、効率よくワークスペースを確保できます。
ただし、独立性は欠けてしまうため、設置場所などは十分検討が必要になります。
なおオープンタイプのワークスペースは子どもの勉強場所として活用することもできます。
実際、子どもの勉強は個室ではなく家族が一緒にいて、少し雑音がするリビングで行うほうが成果が出る、といった意見などもあり、「子育てがしやすい家」として、キッチンやリビングスペースに子ども用のカウンターテーブルを設置しているケースもあります。
そういったスペースをワークスペースとして活用しても良いかもしれません。
通勤だけでなく、家の中の生活環境を豊かにする住まいづくりを
テレワークの普及により、「毎日、会社に通勤する」という働き方だけが一般的ではなくなると思われます。家の中での暮らしや生活を豊かにしたり、少し広めな土地や家を持つために、通勤に便利な都心から郊外への暮らしへとシフトしていくことでしょう。
実際に、土地や家の大きさを確保するために、少し郊外で家づくりを検討したいという方も増えているようです。郊外に行けば、書斎もつくれたり、大きな庭でバーべキューも出来たりと、働き方が変わることで、毎日の暮らしの豊かさを創出することができていくのかもしれません。
実際の書斎レイアウトを見に行こう
書斎を持つことについて、色々と夢は膨らみます。しかし、実現可能であるかどうかといったことは、やはり住宅のプロに相談する必要があると言えるでしょう。
書斎についてイメージが湧かないというときは、実際の書斎のレイアウトを見に行くことをおすすめします。マイホームに書斎を設けているモデルルームも多くあるので、見学に行くことによって良いアイデアが得られるかもしれません。
実際の書斎のレイアウトを見学すると、マイホームを建てた後に書斎を活用するときのイメージが湧きやすいでしょう。コンパクトスペースやワークスペースに設けられた書斎であっても有効に活用すると、仕事の効率が上がるだけではなく、落ち着ける自分だけの空間が出来上がります。
自分たちの予算やほかの要望・状況を加味しながら設計をするには、専門的な知識が必要となります。書斎のデザインなども含めて、設計士やデザイナーに色々と疑問点などを相談してみることをおすすめします。