登記簿はあまり目にする機会がないデータのため、複雑なものだと思っている人が多いのではないでしょうか。しかし、ポイントさえ掴むことができれば、登記簿に記載されている情報を読み取るのはそれほど難しくありません。そこで、登記簿の基本的な見方について詳しく解説していきます。
登記簿は4つの枠に区分されている
不動産における登記簿とは、不動産の客観的な状況や、その不動産に関係した権利などが記載されたもののことを指します。一筆の土地及び一戸の建物ごとに、一組の登記簿が必要になります。ちなみに一筆は不動産用語で、独立した一区画の土地という意味です。また、一組の登記簿は「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」という4つの枠に区分されています。この4つの枠になにが記載されているのかを理解すれば、登記簿の情報を読み取りやすくなるでしょう。
表題部に書かれているのは物件の現況
表題部には、不動産の所在地や大きさなどといった現況が記載されています。ただし、土地の登記簿なのか建物の登記簿なのかによって、記載されている情報が異なります。土地の登記簿の場合は「所在・地番」「地目」「地積」という3つの情報となります。所在・地番とは、土地の住所のようなもので、その土地がどこにあるのかを示していますが、郵便などを利用する際に記入する住所とは別物となります。地目は、土地がどういった目的で使用されているのかが記載されている項目です。主に宅地や鉱泉地や山林、原野や田や畑や公衆用道路などといった分類があります。地積の項目では、土地の面積が明記されています。
建物の登記簿の場合は、「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」という5つの情報となります。所在の項目には、建物が建っている土地の地番が記載されています。家屋番号の項目は、原則として地番と同様の番号となり、地番の後半部分が記されます。ひとつの土地に複数の建物が建っているケースでは、番号の後ろに支号をつけて区別します。種類の項目では、建物がどんな目的で使用されているかが示されています。主に居宅や共同住宅や店舗、事務所や車庫や倉庫などといった分類があります。構造は、建物の主な構成材料と屋根の種類と階数が記載された項目です。「鉄筋コンクリートスレート葺二階建て」というような明記の仕方になります。床面積の項目では、各階の床の面積が表記されています。
権利部には所有権や担保に関する情報が記載
登記簿の権利部(甲区)には、不動産の所有権に関係した情報が明記されています。過去から現在までの不動産所有者の住所と名前、登記の目的などがわかります。さらに、登記の受付年月日と、どういった原因で所有権が移転したのかも記載されています。
権利部(乙部)の項目には、不動産の所有権以外の権利についての情報が明記されています。所有権以外の権利としては、抵当権や地上権や地役権などが挙げられます。たとえば、住宅ローンを組んだ際に不動産を担保とした場合、抵当権に関する情報が記載されます。
共同担保目録は現不動産と担保関係にある
不動産の情報がひとつの債権の担保として、複数の不動産に抵当権が設定されていることを共同担保と呼びます。そして、この担保になっている複数の不動産を一覧にしてまとめたものが共同担保目録です。担保価値や担保額を確保するために、土地とその土地に建つ物件を共同担保にしたり、土地とその土地に面した私道の共有権を共同担保にしたり、複数の不動産を共同担保にしたりします。共同担保目録は、権利部(乙区)に記載された抵当権に付随した情報として扱われます。
見方を知っておけば登記簿は難しくない!
登記簿には表題部・権利部(甲区)・権利部(乙区)・共同担保という4つの区分があり、それぞれに不動産の重要情報が記載されています。建物の場所を調べたい場合は表題部の所在を、抵当権に関して知りたい場合は権利部(乙区)及び共同担保目録をというように、見方さえわかれば登記簿から情報を読み取るのはそう難しくありません。住宅を購入したり、注文住宅を建てたりする際にも登記簿を扱いますが、少し勉強すれば理解できるので、安心して手続きに臨みましょう。