新型コロナウイルス感染症拡大は、住宅を購入される方や住宅会社、現場で作業をされている方々に大きな影響を与えています。その中で、住宅購入者に対して国や自治体による救済措置が用意されています。
そこで、住宅ローン控除(住宅ローン減税、住宅借入金等特別控除)の救済措置についてご紹介します。
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住宅ローン控除とは?一般的には取得から6カ月以内の入居が必須。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを新築、購入、増改築等をした場合に、年末のローン残高の1%が10年間、所得税から控除される制度です。
(2019年に消費税率が10%に上昇した際、適用条件を満たせば住宅ローン控除年数が13年に延長されています。)
例えば、年末のローン残高が4000万円であれば、その1%である40万円の所得税が戻ってくるという仕組みになります。ただし、支払っている所得税額が40万円よりも少なかった場合、残りの分は翌年度の住民税が控除される制度となり、マイホーム取得時に住宅ローンを利用される方にとってはありがたい制度だといえます。
ちなみに、「すまい給付金」という制度もありますので、そちらも確認しておくと良いでしょう。
この住宅ローン控除の制度を利用できる要件のひとつに「新築又は取得の日から6カ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」というものがあります。
「居住の用に供し」というのは、「入居している」ということです。つまり、住宅を引渡されて、新居に「引越し」をしていれば問題ありません。
住民票を移しているかは関係ありませんが、住宅会社から引渡しを受けるには、工事代金を支払っておく必要があります。また、住宅ローンを利用される場合には住民票の移転手続き後、融資実行を受ける形になることも多いので住宅会社や金融機関に確認を取っておく必要があるでしょう。
今回の新型コロナウイルスにより、この制度に救済措置が設けられました。住宅完成から、引渡し、引越しがスケジュール通りに進められず、仕方なく入居が遅れてしまうケースも出てきてしまったため、そういった方を救済するためのものです。
新型コロナの影響で入居が遅れた場合の救済措置とは?
住宅ローン控除に関して、新型コロナ関連の救済対象となる方と救済措置の内容は、以下の通りです。
消費税率が8%→10%に上がったことによる住宅購入者や増改築をした方への負担緩和措置(住宅ローン控除の控除期間を10年から13年に延長)の入居期限要件である「2020年12月31日までに入居」を、新型コロナの影響で満たせない人について、所定の要件を満たしていれば、「2021年12月31日までに入居」で住宅ローン控除を受けられるようになりました。
新型コロナの影響による住宅ローン控除の特例措置を受ける所定の要件とは?
所定の要件は、以下の2点です。
- 一定の期日までに契約が行われていること。
・ 注文住宅を新築する場合:2020年9月末
・ 分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:2020年11月末
- 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響によって、注文住宅、分譲住宅、既存住宅又は増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと。
さらに、確定申告の際、契約の時期を確認する書類(請負契約書、売買契約書の写しなど)や、入居が遅れたことを証明する書類(入居時期に関する申告書兼証明書)を作成して、税務署に提出する必要があります。
ちなみに国土交通省のHPには記載例なども掲載されているので確認しておくと良いでしょう。
新型コロナの影響で、住宅建築の工事スケジュールにも影響がでているケースもあるようです。今回の住宅ローン控除の特例措置を活用して、マイホーム購入を計画されていた方も多くいらっしゃるかと思います。
計画通りであれば2020年12月31日までに入居し、13年間の住宅ローン控除を活用する予定だった方がこの制度を活用できないとなると、資金計画にも影響が出てきてしまうことでしょう。
もし建築予定が遅れてしまっている場合には、申請方法などをしっかりと確認して、この特例措置を受けられるようにしておきましょう。
これから新築をご検討されている方は、しっかりとした資金計画を建てていく中で、住宅ローン控除や給付金の情報を確認しましょう。
【追記】 コロナ禍で住宅ローンの返済に困った場合には金融機関に相談を
今回のコロナ禍で収入が減ってしまったり、失業してしまったという場合、住宅ローンの返済について金融機関も相談窓口を設けています。
金融庁は新型コロナウイルス感染症の影響による住宅ローンの返済に困っている方には金融機関などに積極的に相談するよう、呼び掛けています。
相談しないまま住宅ローンを滞納してしまうと、金融機関から督促され、それを放置してしまうと半年程度で自宅を差し押さえられるケースもあるのです。そうならないためにも、まずは金融機関に相談をすることをおすすめします。
住宅金融支援機構のフラット35を例に見てみると・・・
住宅金融支援機構では、新型コロナウイルス感染症の影響により返済が困難になった人に対し、返済方法の変更メニューが用意されています。
「返済特例」「中ゆとり」「ボーナス返済の見直し」の3つで、このメニューを同時に組み合わせることも可能です。
このような返済方法の変更を行っていくことで、マイホームを手放さずに住まい続けることが可能になります。以前の東日本大震災や今回の新型コロナウイルス感染症のような未曾有の災害・疫害により、住宅ローンの返済などに困った場合、まずは金融機関に相談しましょう。