家の購入のためには住宅ローン諸費用、仲介手数料などがかかってきますが、これらは自分で自由に決めることができない費用です。一方で、頭金の金額については住宅ローンを組む人がある程度は自由に決められます。理想的な頭金の金額というのは人によって異なってくるので、ひとつの正解というものはありませんが一定の目安は存在します。ここでは、家の購入に必要な頭金の考え方として押えておきたいポイントを簡単に紹介します。
住宅ローンの頭金ってどのようなもの?
頭金が多く準備できると、住宅ローンで借りる金額を減らすことができます。例えば、3,000万円の一戸建てを購入するときには最大で3,000万円を住宅ローンで借りることができますが、フルローンを組むことは銀行にとっても債務者にとってもリスクが高いです。建物の価値は年月の経過とともに低下していくので、一戸建ての価値よりも住宅ローン残高のほうが上回ってしまう可能性が高くなります。家を売っても住宅ローンを完済できないという状態にならないために、頭金を入れるという方法があるのです。住宅ローンの頭金の金額を決める前には、自分がどこの金融機関で借りたいのかということも考えてみましょう。家を購入する前の段階で決めてしまう必要はありませんが、希望の住宅ローンを3~4つくらいまでに絞っておくのはおすすめです。給料の振込口座として長年利用をしている銀行があれば、ぜひ選択肢に入れましょう。長年利用をしている金融機関では信用が蓄積されているので、審査で有利になる傾向があります。住宅ローンによっては、申し込み条件に「家の購入額の1割以上の頭金を準備できること」と指定があるケースもあります。あるいは、「頭金を1割以上準備できる人には優遇金利を適用します」という場合もあります。利用したいのに申し込めなかったという事態を避けるためにも、頭金を準備できるよう早いうちから資金計画を練っておくとよいでしょう。
理想的な頭金の金額
理想的な頭金の金額としては、家の購入額の1~2割くらいと言われています。マイナス金利政策などの影響で住宅ローンの金利は下がっています。返済総額が減ったことで最低限用意するべき頭金の割合も減っているようです。さらに、近年ではフルローンを組むためのハードルもいくらか下がっており、余裕を持った返済プランでは頭金がゼロで住宅ローンを組む人もいるようです。ひとつの目安としては、返済比率20%以下もしくは25%以下というものがよく挙げられています。返済比率は「住宅ローンを含めたすべての借金の年間返済額÷年収」で計算されます。住宅ローンの年間返済額が100万円、年収が500万円の人で、そのほかに借金がないのなら返済比率は20%となります。返済比率を計算してみて25%を上回っているようなら、頭金を増やすことを検討してみるといいでしょう。もちろん返済比率はひとつの目安にすぎず、趣味や子どもの教育などにどのくらいのお金をかけるのかによっても理想的な頭金の金額は変わってきます。
フルローンを組む場合の注意点
過去には住宅ローンの金利が7.0%という時代もあり、3,000万円を借りた場合に合計5,000万円を返済していたということもあったようです。それに比べると2017年7月現在での金利はかなり良心的になっており、フルローンを組んだ場合のリスクも下がってきていると言えます。フルローンを組んだ場合の注意点としては、最初の数年間はオーバーローンの状態になる可能性が高いということが挙げられます。新築の家の場合、購入して住んだ時点で中古住宅となってしまうので、価値が1割ほど下がることもあります。最初のうちは住宅ローンの支払い中で利息が占める割合が大きいので、元本はなかなか減っていきません。住宅ローンの元本の減りよりも家の価値が落ちるスピードのほうが速いと、オーバーローンとなってしまいます。余裕を持って住宅ローンを返済していたとしても、途中で家を売りたくなることはあるものです。転勤、離婚、住み替えなど理由はさまざまですが、途中で家を売りたくなったときに「オーバーローンの状態なので売れない」というトラブルも起きています。フルローンを組む場合でも、積極的に繰り上げ返済をしてなるべくオーバーローンのリスクを避けるようにしておきましょう。