「その場所は集中豪雨や河川の氾濫時、本当に安全と言い切れますか
家づくりには水害への知識と備えが必要です」
松島 康生 (まつしまやすお)
役職:災害リスク評価研究所 代表
災害リスクアドバイザー(防災危機管理)
防災計画/ BCP(事業継続計画)コンサルタント
専門:個人(自助)や地域コミュニティ(共助)の災害対策や地区防災の研究
企業や福祉施設の実践的なリスクマネジメント、防災計画/ BCP ( 事業継続計画)の研究
2010年まで国や自治体向けの防災コンサルタントのプロデューサーとして、地震被害想定調査や地域防災計画、洪水/地震ハザードマップなど200案件以上の業務に携わる。
現在では、一般住宅や企業向けに災害リスクを調査する会社がなかったことから「災害リスク評価研究所」を立ち上げ、地震や風水害が発生した場合の危険度をあらかじめ調査(災害リスクのホームドック)し、家族構成や住環境に合わせた防災対策や備蓄品などの具体的なアドバイスをしています。
水害には大きく「外水氾濫」と「内水氾濫」の2種類があります。その主な原因は台風や集中豪雨による短時間で大量の降雨、または長雨によるものです。「外水氾濫」は河川の上流で降った雨により河川の水位が上がり、堤防から水が溢れたり、決壊することにより起こります。一方、「内水氾濫」は下水道の処理能力を上回り、排水しきれずにあふれてしまう状態を言います。
河川の水位が上がり、堤防から溢れ水があふれ
決壊することにより起こる「外水氾濫」下水道の処理能力を上回り、排水しきれずに
あふれてしまう「内水氾濫」人が多く住む場所は平野部などの土地の低い所が多く、このような場所は水害の影響を受けやすい場所でもあります。近年では河川改修等の治水整備が進められ、大きな被害となる洪水は少なくなってきているものの、都市化が進む市街地ではゲリラ豪雨のような局所的豪雨により、下水道の排水処理が間に合わず、内水氾濫する地域が増えつつあります。調整池や遊水池(地下貯留池)等の整備も進められていますが住家への浸水も懸念されています。
これまで土から浸透していた雨水が、アスファルト・コンクリートなどの都市化が進むことで水が浸透しにくくなることから「都市型水害」とも言われています。
※国土交通省資料をもとに作成
台風や集中豪雨により家屋が浸水すると、浸水や汚泥の掻き出しだけでなく、カビや細菌が繁殖しやすくなるため、洗浄や清掃が必須になってきます。
床上浸水の措置
火災保険では、台風・暴風雨・豪雨等による被害が補償の対象とされていますが、保険のタイプによって補償される範囲が異なります。一般的に水害の場合の補償範囲は、保険金額の30%以上の損害が発生した場合、または床上浸水(または地盤面から45cm超)が発生した場合に限られています。ということは、一番手間のかかる床下浸水の除去には保険の適用がされないということになります。
国や自治体による水害の被災支援については、住宅が、全壊・半壊・災害による危険な状態が継続し居住不能な状態が長期間継続している場合には被災者生活再建支援制度の対象となりますが、床下浸水は対象となっていません。水害による住宅の修繕費の補助や災害見舞金を出している自治体でも、対象となるのは床上浸水となっています。また、国の被災者支援についても、居住する住宅が生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支給される「被災者生活再建支援制度」や自治体の「修繕費補助や災害見舞金」も床下浸水は原則、対象外になります。
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床下浸水はあり得ません!
台風や集中豪雨により、土地が低い地域や谷底地になっている地形、河川の近くなどは床下浸水や床上浸水が懸念されます。あらかじめ準備をしておくことで、被害を軽減することが出来ます。但し、外水氾濫(堤防の決壊や越水による洪水)は、早めの避難が必要な場合もあります。
・下水道の側溝や雨水ますの清掃(近年は排水口にゴミ類の詰まりが多い)
・土のうまたは水のう(土のうまたは水のうに合わせて、砂類またはバケツ・ホースの準備)
・過去にも浸水したことのある場所では、止水板の設置
・屋内の排水口(キッチンや洗面所)からの逆流防止
・過去にも浸水したことのある場所では、排水ポンプ+ホースの準備
・地下または半地下の居室には入らずに、浸水防止策を施す(隙間埋めのゴムの設置や防水シート)
・地下または半地下の駐車場は、事前に車両等を移動しておく
・洗濯機の排水口を塞ぐ/洗面所の排水口を塞ぐ
・キッチンの排水口を塞ぐ/トイレの逆流防止策
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